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愛するあなたと愛しいじかんを。


Sound Horizon『Elysion』のエルとエルパパでバレンタインネタです。
エル大好きなパパと
パパ大好きなエルが好きです。












「ただいま、エル」


「あっ、お父様(パパ)!おかえりなさい!」




いつもよりも随分と早く帰宅した父親を、娘の嬉しそうな声と、眩しい笑顔が迎える。
外は雪が降っているので薄暗いが、時刻としてはまだ宵の口だろうか。
普段父親が娘の元に戻って来られるのは、娘が眠りに落ちて随分と経った頃であった。
穏やかに眠っている娘を起こさぬようにと、父親はいつも静かに帰宅をし
抱きしめたい気持ちを抑えて、娘の頬に口付ける。
そしてまだ日も昇らぬうちに、次の仕事をする為、娘の傍を離れるのだ。
久々に見ることの叶った愛娘の笑顔に、父親の頬も緩む。




「ちゃんと暖かくしていたかい?どこか痛いところは無いかな?」


「うん!大丈夫よ。きちんとお布団に入っていたから」




それは娘にとっても同じことだった。
久しぶりに触れる、父親の優しい声、そして温かい笑顔。
ベッドサイドに歩み寄る父親に出来る限り近寄ろうと、横たえた身体を慌てて起こす。




「起きなくていい。楽にしていなさい」


「うん。大丈夫。今日はずっと大人しくしていたもの!」


「…そうか。じゃあ、いい子のエルには、お土産があるぞ」


「本当!?」


「あぁ」




言いながら、父親は金色の小さな何かを取り出した。
娘は小さな両手を差し出してそれを受け取る。
きらきらと光るそれは、大きめの金貨のように見えた。




「お父様、これは何?」


「なんだろうね。開けてごらん」




よく見ると、その“金貨”の側面には包装の重なった部分があり
そこから開くことができるようだった。
かじかんだ手で懸命にそれを開けると、辺りに甘い香りがふわりと広がった。
まだ数える程しか嗅いだことのないそれは、娘の大好きな匂いだった。




「あ!チョコレート!」




娘が嬉しそうに声を上げる。
濃い茶色をしたそれを鼻先まで持っていくと、娘は目を閉じ、思いきり空気を吸い込んだ。
幸福感が、小さな身体いっぱいに満ちる。




「これ、どうしたの?」


「ん?あぁ…。パパのお仕事先の人に貰ったんだよ」




今日の仕事は、サンローラン伯爵から受けたものであった。
いつもよりも手際よく仕事をこなした父親に
いつも通り布製の袋に入った報酬が与えられた。
いつも通り重みは殆ど無かったが、貰えないよりはマシである。
社交辞令としての礼を言い、次の仕事へと向かおうとした父親の背中に
伯爵の声が投げ掛けられた。




「待て、アビス。貴様、今日が何の日か知っているか?」


「は…、申し訳ありませんが、存じ上げません」


「…だろうな。貴様のような人間には、縁のない祭事だろうからな」




…こいつは何が言いたいのだろうか。挑発しているのか?
募る苛立ちを仮面の下に押し隠し、父親は表面的には穏やかな笑みを浮かべた。
こんな奴と無駄話をしている暇は無かったので
出来る限り波風を立てぬようにし、一刻も早くこの場を去りたかったのだ。
そんな父親に、伯爵は軽侮するような表情を向け、何かを放って寄こした。




「まぁいい。それを持って、さっさと行け」


「…これは?」


「ショコラだ。貴様だって見たことくらいはあるだろう?大事な娘にでもくれてやるんだな」




それが“金貨”を模した形であったことに、何か皮肉めいたものを感じたが
娘に菓子を与えられる機会は滅多に無かった。
意図が判らないのが不気味だったが
伯爵に頭を下げて礼を言った父親は、急いで家路についたのだった。




「ふぅん…。そうなんだ」




呟いて、娘はまじまじとチョコレートを見つめた。
そして、何を思ったのだろうか。
両の手でチョコレートの端を持ち、ギュッと力を籠める。
パキッと乾いた音を立てて、それは二つに割れた。
若干歪になったチョコレートの片割れを、娘は父親に向かって差し出した。




「はい!これはお父様の!」


「え?パパはいいよ。エルが食べなさい」


「いや!私、お父様と一緒に食べたいわ。お父様が食べないなら、私もいらない!」


「え、エル…」




ぷいと横を向いてしまった娘を見て、父親の顔に困惑の色が浮かぶ。
おろおろとするばかりの父親を横目で見やり、娘は口の端を持ち上げた。




「…じゃあ、お父様も食べて!」




満面の笑顔で差し出される歪なチョコレート。
父親の胸に、温かい感情がじわりと溢れた。




「…ありがとう。じゃあパパはこっちを貰おうかな」




娘が差し出したのとは逆の、少しばかり小さい方のチョコレートに、父親は手を伸ばした。
娘が慌てて手を引っ込める。




「だめ!お父様はお仕事頑張ってきたんだから、こっちを食べて」


「ありがとう。でも、パパはお外へ行った時にいつでも食べられるから
 そっちはエルが食べなさい」


「でも…」


「そうしてくれると、パパはすごく嬉しいんだけどなぁ」


「うーん……わかったわ」




娘はどこか釈然としない表情で頷き、引っ込めていた手を差し出した。
口を尖らせた、少し拗ねたような顔が愛らしい。




「ありがとう」




父親も娘に手を差し伸ばす。
父親の冷たい手が、温かい娘の掌に触れた。
娘は照れたようにはにかみ、父親にチョコレートを手渡した。




「…ねぇお父様…だっこ、してほしいわ」


「えっ…」




すると、今度は恥ずかしそうに俯きながら、娘は父親に抱っこをせがんだ。
次に父親の体温に触れることができるのが、いつになるかは分からない。
娘が、出来る限り父親の傍にいたいと願うのは当然のことだった。
しかし父親は、一瞬躊躇し言い籠った。
娘の体調に一抹の不安を抱いていたからだ。
布団から出しても大丈夫だろうか。身体に負担になるのではないか、と。
だが、




「…あぁ。おいで」




だがそれよりも、娘を抱きしめたい気持ちの方が勝った。
そんな自分を心中で叱責しながらも、父親はベッドに腰掛けると
娘を抱え上げ、自らの膝に座らせた。
細く軽い、小さな身体。
娘は嬉しそうに、本当に嬉しそうに微笑んだ後、力いっぱい父親に抱きついた。
冷えた父親の身体に、じんわりと沁み込んでくる、熱。




「私、お父様が大好きよ!世界で一番お父様が好き!」


「…パパも、エルが大好きだよ」




綺麗な銀色をした髪を撫でると、頬を桃色に染めた娘がにっこりと微笑んだ。
父親も、娘に温かい笑みを浮かべてそれに応える。



そして二人身を寄せたまま、分け合ったチョコレートを口にした。




「おいしい!」


「そうだね」






愛しい声
愛しい笑顔
愛しい気持ち
愛しい温もり
愛しい存在






共に在ることの幸せ。






薄い壁を、歪んだ窓を、冷たい夜風が激しく叩く。
息が白く染まる部屋の中で、お互いの体温を分け合うように
二人は一層強く身を寄せ合った。
幸せそうな弾んだ笑い声は、雪に埋もれて消えてゆく。














春の訪れは、もう暫く      先。

















惹かれ合う『E』と『A』
という歌詞が好きです。
アビス(エル)だけが一方的に欲しているわけじゃないんだな、というのが。

惹かれ合う『E』と『A』
エルとアビス
エウリディケとオルフェウス
エイレーネとアレクセイ
エレフセウスとアルティミシア
…奥さんの名前が『E』だったら『A』ugusuteもokだね。


どうでもいい事なのですが、これを書いた翌日に、
姉が友人さんから頂いたフランス土産の金貨チョコをお裾分けでくれました。
……Moiraよッ…!!Σ( ̄Δ ̄;)






2009⁄02⁄13(Fri) 20:52   .SoundHorizon ss | Comment(1) | | ↑Top


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2009/02/13 21:55 | [ 編集]

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