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芽吹く全てにこの歩みを


Sound Horizon『Roman』のイヴェールとオーギュストの話です。
タイトルは「24番目のネジ」様から。

お世話になっているNさんに戴いた絵を見て
たまらん気持ちになったので、書きました。

戴いた絵も一緒に上げさせていただいたのですが
うちの入力装置が相変わらず携帯のみで申し訳ないです…。

Nさんどうもありがとうございました!








僕は、春が嫌いだった。
光と温もりに溢れた季節。
生命が生まれいずる季節。
「Hiver」としての存在を運命づけられていた僕は
春という季節に嫉妬をしていたのだ。














「…なんだ、今日は随分と機嫌が悪そうだな」




だから、オーギュストがそう言ったことも、あながち間違いではなかった。
むしろその通りなのである。
オーギュストが僕の「変化」に気付いてくれたのは、少し嬉しかった。
だけど、オーギュストには僕の気持ちは理解できないだろうという絶対的な失望もあった。
生命に満ち溢れたこの季節において、僕は明らかに異端である。
所詮、僕は「生まれることの叶わなかった存在」であり
オーギュストは、今「生きている存在」なのだ。
オーギュストの眩しいほどの「生」が羨ましかった。
僕はオーギュストに、「生」ある全てに、嫉妬をしていたのだ。




「…そうかな?別に、いつもと変わらないつもりだけど」


「そうか…?」




オーギュストは不思議そうな顔をしていたが、それ以上は何も訊かなかった。
僕たちは黙って、春の草原をただ歩いた。
あぁ、なんだか嫌な気分だ。
どうしてこの世界には、こんなに「生」が溢れているのだろう。
春なんて大嫌いだ。
僕を拒絶するものばっかりじゃないか。




「…あぁ。この花は、オーギュストに似合っているな」




下ばかり見ていた僕の目が、やがて“それ”を見つけた。
足元に咲いていた花をひとつ、足を止めたオーギュストの耳元へと挿し入れる。
それは「生」を意味する青色をした花で
およそ僕には似合わない、清々しい花だった。




「…いや、私には、そもそもこういうものは似合わないだろう」




少し困ったような顔をして、オーギュストはその花に手を伸ばした。
あぁ、取ってしまうのか、と僕は少し残念に思う。




「僕は、オーギュストによく似合っていると思う。「生」に満ちた、綺麗な色だよ」


「…まぁ、私の髪は大概の色は合うがな。
 君の髪だって、とても澄んだ色をしている。どんな色もきっとよく映える」


「僕には、こんな色は似合わない。こんなに生き生きとした色は、僕では不釣り合いだ」




オーギュストが僕の髪を褒めてくれたのは嬉しかった。
だけど、僕は少し意地になってそう答えた。
オーギュストは、否定も肯定もせずに僕を見つめている。
だが、やがて視線を落とすと、足元を見回してから、その場に屈みこんだ。




「…では、君にはこの花が似合うかな」




そう言ってオーギュストが手折ったのは
細い花びらをたくさん付けた、淡い紫色をした花だった。






紫が意味するのは「死」。
生命が往き着く終焉。
全ての終わり。











あぁ、確かに僕にはぴったりだ。











分かっている筈なのに…何故だろうか。
僕は、オーギュストがその色を選んだことを少し、悲しく思った。











「紫は、夜の色だ。次に来る朝に、生まれいずる命に繋がる…優しい色だ」











「…ぇ?」




オーギュストの言葉に顔を上げると
すぐ目の前にあったのは、
太陽の光を浴びて輝きを増した、眩しいほどの銀色。
その可憐な花さえも霞むような、柔らかくて、温かくて、綺麗な微笑み。
陽だまりのなか、堂々と上を向いた、美しい花。
紫色の、凛々しい花。




「…オーギュスト」


「あぁ…やはり」




色の白いオーギュストの手が、撫でるように僕の髪をかき分けた。
視界の隅に消えたその花は、下ろされたオーギュストの手にはもう握られていなかった。
オーギュストは僕の髪に目をやり、次に僕の顔を見て、笑った。











「君に、とてもよく似合っているよ。イヴェール」











僕は誇らしい気持ちで、足元の紫色を見つめた。




「…あぁ。ありがとう、オーギュスト」




僕たちは笑い合った。
温かな日差しと、柔らかな気持ち、愛おしい想いのたくさん詰まった
春の陽だまりのなかで。






僕たちは






24番目のネジ様 春より
「芽吹く全てにこの歩みを」



相変わらずこの記事幅の制限でもう…すみません…ッ。
↑の絵はクリックで大きいサイズになります…!
ちなみに全身図はこちら↓

クリックで大きくなります…!!

うちの天秤と彫刻家は、いまいち幸せにならないので
笑顔の二人を見ると救われます。
Nさん本当にありがとうございました!

ちなみに、
イヴェールの花が「都忘れ」、オーギュストの花が「瑠璃唐草」のイメージで書きました。
花言葉は
・都忘れ:しばしの憩い、別れ、短い恋
・瑠璃唐草(ネモフィラ):愛国心、荘厳、私はあなたを許す
だそうです。他にもあるみたいだけど!






2009⁄07⁄09(Thu) 21:26   .SoundHorizon ss | Comment(0) | | ↑Top


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(2012/01/19)
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