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青き伯爵と青き賢女のおはなし


Sound Horizom「Marchen」に出てくる
青髭とテレーゼのお話です。

勝手な解釈しかないお話。

テレーゼ周りの人間関係がまるで理解できないのが悔しいです。


















嗚呼…ここから見る景色は、本当に美しいですね――――――
















そう言って微笑む彼女の横顔は
月光に照らされる青薔薇よりもずっと麗しく
手を触れることさえ叶わぬ宝物のように
私の瞳には映った。








初めて彼女と出逢ったのは、城からほど近い、深い森の奥だった。
夜も更けようとしている時分
女性が一人でこんな場所にいるのは安全とはいえない。
しゃがみ込むその背に、私は思わず声をかけた。

彼女は私の声に酷く驚いたようで、びくりと肩を震わせると
慌ててフードを目深に被った。
手に持っていた小さな籠が、とさりと音を立てて地面に転がる。

私は驚かせてしまったことを詫び、名を名乗った。
不審な者でないことを、彼女に伝えたかったのだ。
だが、彼女は小さく息をのむと
急いで立ち上がり、私に背を向けたままで走り出した。

声をかける間も無く、私はただその背中を見送る。
置き去りにされた籠の中には、様々な薬草がぎっしりと詰まっていた。



それから私は、その森に通うことが日課となった。



ある日、私は再び彼女と出会った。
私を見て逃げ出そうとする彼女に、私は慌てて声をかけた。

怖がらないでほしいこと。
驚かせたことへの謝罪。
落とした籠を返そうと思い、探していたこと。

彼女は背を向けたままで聞いていたが
やがてゆっくりと振り返った。
細身で背が高く、凛とした空気を纏った女性だった。

ゆっくりと歩み寄り、先日拾った籠を差し出す。
彼女は小さく会釈をして礼を言った。
病人がいるのかと問うと
彼女は、息子がいるのだと答えた。
籠に入っていた薬草はすっかり萎びてしまい、使い物になりそうもなかった。
もっと早く返せていたらと謝罪をすると
彼女は笑った。
貴方が謝ることではないと言い
月の光のような、柔らかな微笑みを浮かべて。



それから私は、度々彼女と会うこととなった。



彼女は自分のことをほとんど語ろうとしなかった。
外へ出るときはいつもフードを被っていたし
名前すらも、私は知らなかった。
ただ、目の見えない、大切な息子がいるのだと。
それだけが、私の知っている、彼女の全てだった。



だが、私はそれでも構わなかった。



私は彼女に、腕のいい医者を紹介しようかと提案した。
しかし彼女は首を振る。
あまり人に会いたくないし
自分の手で、息子を助けたいという想いが強いようだった。
何か事情があるようだったが
彼女が話したくないのなら、無理して聞き出すつもりもなかった。



ある日、私は初めて彼女を城に招待した。



彼女はしばらく悩んだが
少しだけならと、小さく頷いた。
使用人を下がらせ、奥の部屋へと案内する。
そこは城の庭が見渡せる、小さな部屋だった。



そこで彼女は、顔を覆っていたフードを初めて外した。



私は彼女の美しさに目を奪われ、暫しその顔を見つめた。
初めて見る、優しさと力強さを備えた、青い瞳。
彼女は困ったように笑い、あまり見ないでくれと私に言う。
私は、あまり綺麗な瞳だったのでつい見とれてしまったと
まるで言い訳のように慌てて言った。
彼女はほんの少し頬を染めて、
貴方の髪も、とても綺麗な色をしていますよと笑った。

彼女は、その部屋の窓から見える景色がとても気に入ったようだった。
庭の一角には、青薔薇の咲く花壇がある。
今は秋口なので咲いていないが
春になれば満開の薔薇が見られるのだと、彼女に言った。
彼女は、青い薔薇は大好きだと微笑んだが
それならまた見に来ればいいと言った私の言葉を聞いて、表情を曇らせる。



今日は、お別れを言いに来たのです、と。



彼女は寂しそうに笑った。
ずっと此処に留まることは出来ないのだと。
他の地で、息子の目が治る方法が見つかるかもしれないと。
貴方に出逢えたことは、とても幸福(しあわせ)なことだったと。

私は何も言えず、ただ黙って聞いていることしかできなかった。
彼女は最後に名を教えてくれた。

『Therese von Ludowing』

聞いたことはあった。
今まで身分を隠していて申し訳なかったと、彼女は詫びた。
だが私には、そんなことはどうでもいいことだった。

私は彼女の手を握った。
彼女は少し驚いたように私の目を見つめる。
深く青い両の瞳で。





「…この部屋をもらってはくれまいか?
 此処で共に、あの青薔薇を見よう。
 だから…」





彼女は微笑んで頷いた。
共に笑い合えるときが来たらきっと、と。



彼女は去り、私は祈り続けた。



彼女が無事であるようにと。
彼女の息子が健やかに育つようにと。
母子に幸福が訪れるようにと。
君と共に笑い合える時代が来るようにと。










森の魔女が火刑に処されたと知ったのは
何度目かの青薔薇が散った、ある日のことだった。







2010⁄12⁄29(Wed) 23:13   .SoundHorizon ss | Comment(0) | | ↑Top


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(2012/01/19)
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